Editorial
子どもの心・成長 / 自己肯定感
子どもの自己肯定感を育てる日常の関わり方|結果だけでなく気持ちや挑戦を受け止めよう
子どもの自己肯定感は、「すごいね」と褒めることだけで育つものではありません。話を聞く、気持ちを受け止める、挑戦や努力を見るなど、毎日の親子の関わりで意識したいポイントを整理します。

子どもの自己肯定感を育てる日常の関わり方
「もっと自信を持ってほしい」
「失敗するとすぐ諦めてしまう」
「どうせ自分にはできない、と言うことがある」
そんな姿を見ると、保護者として心配になることがあります。
自己肯定感という言葉はよく使われますが、
いつも自信満々でいること
とは少し違います。
こども家庭庁は、親子の肯定的なつながりを築き、子ども自身が「愛され、大切にされている」と実感できることが、自尊感情や自己肯定感を育む重要な要素の一つだとしています。
つまり家庭で大切なのは、
「できる子」にすることより、「自分は大切な存在だ」と感じられる関係をつくること
です。
まずは「話を最後まで聞く」
子どもが話し始めたとき、
• 結論を急ぐ
• 正しい答えを教える
• 途中で注意する
• 「それは違う」と訂正する
ことがあります。
もちろん必要な場面もあります。
でも、ときにはまず、
「そう思ったんだね」
「それでどうしたの?」
と、最後まで聞くことも大切です。
こども家庭庁の検討資料でも、子どもが意見を表明するには、その意見を丁寧に聞き、意見形成そのものを支えることが重要だと議論されています。
RaiFamからのポイント
話の内容に賛成できなくても、
話すこと自体を否定しない
ことはできます。
「気持ち」と「行動」を分けて考える
子どもが怒ったり、泣いたり、乱暴な言葉を使ったりすると、
「そんなことで怒らないの」
と言いたくなることがあります。
でも、
• 怒ること
• 悔しいと感じること
• 悲しくなること
自体は悪いことではありません。
問題になるのは、その気持ちをどう行動に表すかです。
例えば、
「悔しかったんだね。でも物を投げるのはやめよう」
と、
気持ちは受け止め、行動にはルールを示す
ように分けて伝えられます。
結果だけではなく「取り組んだ過程」を見る
テストで100点。
試合で勝った。
作品が入賞した。
結果が出たときは褒めやすいものです。
一方、
• 自分から始めた
• 苦手でもやってみた
• 失敗してもう一度挑戦した
• 友達に優しくできた
• 約束を守ろうとした
といった行動は、見逃しやすいことがあります。
家庭教育は、生活習慣や自立心、自尊心、他者への思いやりなどを身につけるうえで重要な役割を持つと文部科学省は整理しています。
声かけの例
「100点ですごい」だけでなく、
「毎日少しずつやってたね」
「勝ってよかったね」だけでなく、
「最後まで走りきったね」
というように、結果までの行動を見る方法があります。
失敗したときこそ「存在」まで否定しない
子どもが失敗すると、
「だから言ったでしょ」
「何回言えば分かるの?」
「あなたはいつもそう」
と言いたくなることもあります。
しかし、
行動がうまくいかなかった
ことと、
その子自身がダメ
ということは別です。
例えば
「あなたはだらしない」
ではなく、
「今日は片付けができていなかったね。どうしたら戻しやすいかな?」
のように、行動そのものを扱います。
子どもに「選ぶ場面」をつくる
何でも自由に決めさせる必要はありません。
ただ、日常の小さなことなら、
• どちらの服にする?
• 宿題とお風呂、どちらを先にする?
• 休日にどこへ行きたい?
• 今日どの本を読む?
など、子どもが選べる場面があります。
こども家庭庁は、子どもの意見や意向を丁寧に確認し、主体として関わることを重視しています。
RaiFamからのポイント
「言うことを聞かせる」だけでなく、
自分で考えて決める経験
も、成長の一部です。
家の中で「自分の役割」を持つ
文部科学省の家庭教育に関する考え方では、家庭での触れ合いを通して、自立心や社会的なマナーなどを身につけていくことが重視されています。
子どもにも、
• 洗濯物を運ぶ
• 箸を並べる
• ペットに餌をあげる
• 自分の水筒を準備する
など、年齢に合った役割を持たせる方法があります。
大切なのは「役に立った」と分かること
終わった後に、
「助かったよ」
「ありがとう」
と伝えると、
「自分も家族の一員として役に立っている」
と感じやすくなります。
きょうだいや友達と比べすぎない
「お兄ちゃんはできたのに」
「○○ちゃんはもっと早いよ」
比較は、大人にとって分かりやすい基準です。
でも、子どもによって、
• 得意なこと
• 苦手なこと
• 成長する時期
• 興味
は違います。
比べるなら、
他の子より上か下か
より、
以前のその子と比べてどう変わったか
を見る方が、その子自身の成長を見つけやすくなります。
「褒める言葉」が出ない日もある
子育てをしていると、毎日余裕があるわけではありません。
仕事。
家事。
きょうだい。
睡眠不足。
予定。
保護者自身が疲れていれば、優しい言葉が出ない日もあります。
文部科学省は、家庭教育を家庭だけで抱え込むのではなく、地域や学校などによる家庭教育支援を推進しています。
保護者側も完璧でなくていい
怒ってしまった後に、
「さっきは言いすぎたね」
と伝え直すことも、親子のやりとりの一つです。
子どもの「NO」も大切な意思表示
成長すると、
「嫌だ」
「やりたくない」
「今は話したくない」
と言うことがあります。
すべてをそのまま認める必要はありません。
ただ、「NO」と言えること自体を頭ごなしに否定しないことも大切です。
こども家庭庁の親子関係支援資料でも、必要なときに親へ「No」と自分の気持ちや意見を伝えられることは、発達の中で獲得した力として尊重することが、信頼に基づく親子関係につながるとされています。
「できない」と言ったときに全部代わらない
子どもが、
「できない」
と言うと、すぐ手伝いたくなることがあります。
でも、
• 最初だけ一緒にやる
• ヒントだけ出す
• 小さく分ける
という方法もあります。
例えば片付けなら、
「全部片付けよう」
ではなく、
「まず本だけ戻そう」
と小さくします。
小さな成功体験をつくる
大きなことを達成させる必要はありません。
自分でできた
と感じられるサイズまで課題を小さくすることがポイントです。
「そのままの存在」を肯定する時間も必要
何かできたときだけ、
「すごい」
「えらい」
と言われると、
「できない自分には価値がない」
と受け取る可能性もあります。
時には、
• 一緒に遊ぶ
• 話をする
• 笑う
• 抱きしめる
• 「おかえり」と迎える
といった、成果とは関係ない日常そのものが大切です。
こども家庭庁も、親子の肯定的なつながりを通して、子どもが愛され大切にされていると実感できることを重視しています。
年齢によって関わり方を変える
乳幼児
• 安心できる関わり
• 話しかける
• 気持ちを代弁する
• できたことを一緒に喜ぶ
小学生
• 学校での話を聞く
• 役割を持たせる
• 結果だけでなく努力を見る
• 選択肢を与える
中高生
• すぐに答えを出さない
• 意見を聞く
• 距離を取りながら見守る
• 必要なとき相談できる関係を保つ
成長とともに、
「やってあげる」
から、
「任せて、必要なとき支える」
へ少しずつ変えていきます。
RaiFamからの親子コミュニケーションチェック
話す
• 最後まで聞けている
• すぐ否定していない
• 子どもの意見を聞いている
褒める
• 結果だけを見ていない
• 努力や挑戦も見ている
• 他人との比較ばかりになっていない
任せる
• 年齢に合った役割がある
• 自分で選ぶ機会がある
• 失敗する前に全部止めていない
日常
• 成果と関係なく一緒に過ごす時間がある
• 「ありがとう」を伝えている
• 保護者自身も無理をしすぎていない
自己肯定感を「上げなければ」と焦らない
子どもが落ち込むこともあります。
自信をなくす日もあります。
失敗して、
「自分なんて」
と言うこともあるかもしれません。
そんなときに、無理に、
「あなたはすごい!」
と元気にさせる必要はありません。
まず、
「そう思うくらい悔しかったんだね」
と受け止めるところから始めてもいいのです。
家庭は「安心して失敗できる場所」に
学校や社会では、
• 評価
• 成績
• 順位
• 勝敗
がつく場面があります。
だからこそ家庭では、
失敗しても戻ってこられる場所
であることが大切です。
成功した日だけではなく、うまくいかなかった日も、
「今日もおかえり」
と迎える。
そんな日々の積み重ねが、親子の肯定的なつながりにつながります。
参考・出典
• 文部科学省「家庭教育支援」 学びミライ
• 文部科学省「家庭教育手帳」 文部科学省
• 文部科学省「子育てをしている、子育てに悩んでいるすべての方へ」
• こども家庭庁「親子関係再構築のための支援体制強化に関するガイドライン」 日本の CFA
• こども家庭庁「こどもの意見反映プロセスの在り方に関する検討委員会」 日本の CFA
